岐阜県立岐阜商業高校簿記部が今年、主要な全国簿記大会を制して「高校3冠」を達成した。難関の日商簿記1級の合格者が現役部員に23人もいて、他県の学校が「練習試合」をしに遠征に来るほどの実力を誇る。放課後の教室に、電卓をたたく音とシャープペンシルで数字を書き付ける音が響く。取り組んでいるのは、こんな問題だ。
決算にあたって調査したところ、前期に貸し倒れとして処理していた掛代金の一部○○円を小切手で回収したが未記入であったことが判明した。
この問題の答えは、借方に現金、貸方に「償却債権取立益」という仕訳をするというもの。模範解答には、「回収した掛代金の一部は前期に貸し倒れとして処理しているので、回収額は『償却債権取立益』として営業外収益に計上する」という解説がついていた。
簿記部が団体優勝したのは「全国高校簿記コンクール」「全国高校IT・簿記選手権大会」「全国簿記電卓競技大会」の3大会。なかでもIT・簿記選手権は、日商簿記1級レベルの問題が出る「日商1級部門」と「簿記部門」の両方を個人、団体とも制した。高校野球に例えれば、甲子園春夏連覇などを達成した2018年の大阪桐蔭のような存在感だ。